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「ゴルフボールって、技術の塊」2022年8月10日

「ゴルフボールって、技術の塊」2022年8月10日

毎日暑いですね!夏の甲子園も開幕しました!
私も甲子園を夢見て、高校野球に打ち込んでいたので、
夏になると当時の熱い想いが沸き上がって来ます!笑

今週からお盆休みに入る方も多いと思いますので、
本日はリラックスして読んで頂ける内容にします。

「ゴルフボールって、技術の塊」です!
なぜゴルフボールかと言いますと、私は前職の
ミズノ㈱で8年間、ゴルフボールを作っていたからです。

私が入社したのがミズノ㈱の100周年の時でした。
100周年記念プロジェクトの新規事業で立ち上げたのが
ゴルフボール事業だったんですね。

新規事業ということもあって人数も少なく、
企画、開発、生産技術、品質保証、物流、生産管理など
川上~川下まで全ての役割を担当して来たので、
ゴルフボールには詳しいんです!笑

さて、ゴルフボール業界に新しいメーカーが
参入したという話を聞かないと思います。

なぜ聞かないのか?

新規参入が難しいからです。

その大きな理由は次の3つです。
①、特許が膨大にあるため、回避が難しい。
②、装置産業であるため、莫大な設備投資が必要。
③、大量の製品を同じ品質で作り続けるのが難しい。

リスクが高くて、お金も掛かって、管理も大変だからなんですね。

ゴルフボールの構造をザックリ全体的に見ると、
2層構造(2ピース)~5層構造(5ピース)が主流で、
多層になればなるほど高価になる傾向があります。

中心に近い層はゴムが使われ、
外側に近い層は樹脂が使われる事が多いです。

各層における硬度分布を変える事で、
打ち出した時の飛び出し条件を制御してるんですね!

また、使用するクラブの番手(ドライバーやアイアン)によって、
ボールの変形量が変わって来ますので、効いてくる層が違うんです。

なので、設計したい性能に合わせて、使う材料や硬度を変えて、
各番手に対して最適な飛び出し条件に合わせていくのです。

それでは、具体的な各層に詰まった技術を見ていきましょう。

■コア層
中に詰まっているゴム層の事ですね。
このコア層は自動車で言うと、エンジンです。
遠くへ飛ばすための動力を担っているんですね。

多くは高シスブタジエンラバーと言って、
高反発性能を実現出来るゴムを使うケースが多いです。

ですが、「ゴムは生き物」と良く言われるくらい、
均一な性能で生産し続けるのが難しいんですね。
ブリジストンや住友ゴムなどのタイヤメーカーが
ゴルフボール業界でも強い理由はそこにあるんですね。

熱で反応する硬化剤を配合して練り、金型に入れ、
外側から熱と圧力を掛けて、球体に成形していきます。
ですが、中心部分は熱が届きにくいので、
しっかりと硬化させるのが難しいんですね。

一方、中心までしっかりと硬化されていた方が
反発性能としては高くなります。

中まで効果させようと思うとじっくり時間を掛けて、
熱・圧力を掛けていく必要があるのですが、
そうすると、生産効率が下がります。

いかに生産効率を下げずに、硬化を促進させるかが
各社技術力の魅せ所という事になります。

■中間層
こちらも反発性能が要求されます。

ゴルフボールというのは外が硬くて、中が柔らかい方が
「高打ち出し・低スピン」になりやすいので、
ドライバー使用時に飛距離が出やすくなります。

ですので、外側に近い中間層には硬度も求められます。

つまり、硬くて、反発性能が高い材料が適しているのです。

良く使われるのは「アイオノマー」という樹脂です。
あまり聞かれた事がないと思います。笑
マイナーな材料なのですが、反発性能がとても良いんです。
また、耐衝撃性にも優れているので、ゴルフボールに適した材料なのです。

しかし、表面に近い層に硬すぎる材料を使うと、
打感が硬くなってしまうんですね。

よって、中間層では反発性能・打感・硬度の
絶妙なバランスで設計する必要があるのです。

いかがだったでしょうか?
あんなに小さいゴルフボールにも
実は、こんなに技術が詰まっているんです!

まだまだお伝えしきれない情報がたくさんありますので、
続きはお盆明けに配信させて頂ければと思います。

お盆休みにゴルフに行かれる方は、
「そんなに技術が詰まっているんだ」という風な想いで
ゴルフボールを見て頂けたらと思います。笑

最後までお読み頂き、ありがとうございました。
それでは、また次回の配信をお楽しみに♪